テキストサイズ

Memory of Night

第6章 再会


 そんな晃に素直に「うん」と言うのも癪な気がして、宵は晃の唇に触れていた手を下ろすと冷たく言った。


「誰がおまえの心配なんかするか。ただ、偶然通りかかったから」

「だから助けてくれたんだ。じゃあ、さっきの膝蹴りも偶然? 随分器用だな、宵の体」


 からかうような口調に、宵が眉根を寄せる。


「……嫌味なヤツ。そうゆう性格してるから、あんなヤツらに絡まれんだよ。そんで殴られてりゃ、世話ねーな」

「俺、そんなに喧嘩弱くないよ。おぼっちゃんてほどでもないし。ただ、下手な問題起こすと後が面倒だから暴力沙汰は避けたいだけ」

「面倒って?」

「ぶっちゃけ内申点とかね。俺の夢医者だし、そのための大学入るにはイイ子を通さなくちゃいけないからね」

「『イイ子』ねえ」


 宵が瞳を細めてじとっと晃へ視線を向ける。


「んー……まぁバレなきゃ平気だけど。君を買ったのだって、俺が貰った金だ。どう使おうと俺の勝手。金は随分あるけど使い道がなかったんだ、今まで」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ