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Memory of Night

第6章 再会


(またカツアゲでもやってんのかな……)


 聞こえてきた言葉からして、喧嘩をふっかけているだけのような気もするけれど。

 とにかくこの裏道は人通りも少ないので、そういったやからが多く出没するのも事実だ。

 カツアゲにしろ喧嘩にしろ、宵はそれに関わるつもりはなかった。

 素通りしてしまおうとした時、不良の一人が微かに体を動かした。

 その拍子に、絡まれていた人物の顔が露になる。


(……!?)


 それは宵には見覚えのありすぎる顔だった。


(晃……!?)


 金髪の男が拳を振り上げる。

 宵はとっさに駆け出すと、拳が晃の顔面を直撃する前に後ろからその手を掴んで止めていた。


「……おまえ……」


 振り返った金髪と紫頭の男が、一瞬驚いたように目を見開く。

 だがその顔はすぐに、ニヤけた笑い顔に変わった。どこか引っ掛かるような、下卑た笑みに。


「よぉ、大河じゃん。なんだよおまえ、俺達に喧嘩でも売ろうってのかァ?」


 金髪の男がからかうような口調で言う。

 一瞬、なぜ自分の名前を知っているのか不審に思ったが、宵はすぐに微笑を浮かべて答えた。

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