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Memory of Night

第15章 告白


 そう言う宵の顔には、億劫そうな様子は微塵もなかった。

 ずっと離れ離れだったわけだし、つもりつもった話もあるのだろう。

 まだ完全な健康体でないとはいえ、昔のように志穂と暮らせるのは、宵にとって喜ばしいことなのかもしれない。


「栄養のあるものいっぱい食べさせてやりなよ。……てか俺のとこに来てていいの? 発作も見てなきゃならないんだろ? 無理に来なくたって、君がそんなに会いたいなら俺から会いに行ったのに」

「……来んな。俺がいつ会いたいっつったんだよ? 呼び出したのおまえじゃん」

「そんな細かいことは気にしない」

「しろ、少しは」


 宵は持っていたカップを勉強机の上に置いた。


「あの人のことなら心配無用。もう俺が住んでるアパートにはいねーから」

「どういうこと?」

「矢部先生んとこ行ったんだよ。なんか結婚するって」

「結婚!?」


 勢いよく顔を上げ、晃が叫ぶ。

 その反動でカップが揺れ、危うく中の液体がこぼれそうになった。


「……そ、結婚。まだ籍は入れてねーけど、多分近いうち入れるんじゃねーかな」

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