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Memory of Night

第7章 夏祭


(……たく。あいつらと祭に来れば良かったんじゃねーの?)


 晃に向けられていた女生徒からの熱っぽい視線を思い出し、宵が灰色の瞳を細める。

 晃は宵の容姿を随分と気に入っているようだが、晃だって十分整った容姿をしているのだ。

 宵のように中性的なものとは違う。切れ長の瞳ややや堀の深い顔立ちはもっと男らしい。女ウケの良さげな甘い笑顔は、どんな女の足でも開かせてしまいそうだ。

 肩幅も広く、特別ガタイがいいとは言えないが均整のとれた体つきだと思う。

 その上頭もいいし運動もできるのだから、まったく非のうちどころがない。

 そして晃は声をかけてきた女生徒をすべて覚えていたようで、彼女達を名前で呼んでいた。それが、宵にはなぜか不愉快だった。

 今までの出来事を軽く回想しながら、宵はゆかたのすそを直して片膝を立てた。

 そのまま木に背中を寄りかからせ、落ちてきた髪を指ですくって耳にかける。

 その時、ふと目の前が暗さを増した。

 宵が顔を上げると、そこにいたのは人相の悪い三人の男だった。

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