
地味に甘い君
第35章 君が奪われていく…
~赤羽side~
「――――ヤマト君…」
仏壇の前で項垂れるヤマト君は…
電池の切れたオモチャのように動かなくなった。
叔父さんも叔母さんも動かないヤマト君に、どう声をかけていいのか分からず…黙ったままだった。
“姻族関係終了届”
僕も初めて聞くその“届け”の名前から…
冷たく――――…バッサリ切られた…
そう感じた。
「――――もう…遅い…
今日は泊まっていけ――――ヤマト」
「そうね」と、叔母さんは言うと…仏壇の部屋から出ていった。
「あっ――――…僕…ヤマト君の大学の友達で…赤羽といいます…何かお手伝いします」
叔母さんに声をかけると、少し驚いたように…そして嬉しそうに笑った。
僕は叔母さんに着いて台所へとむかう。
「ヤマト君――――…大丈夫かしら…」
「どういう…ことですか?」
僕が叔母さんの神妙な顔を覗く…
「実は――――…新しいお母さんと上手やっていけるか…再婚したとき心配してたの…」
