テキストサイズ

遠くの恋人より近くの同僚

第10章 とけない魔法

ウエディングドレスに着替えた私は
スタッフの方々に手伝ってもらい
芦ノ湖の畔に辿り着くと
シルバーのタキシードを着ている
橋本さんをはじめ
撮影部隊の人たちから
一斉に注目を浴びた。


皆が“綺麗”だの“モデル”だの
褒めてくれる中、橋本さんは……


「これが現実だったら自慢の嫁だな」


錯覚に陥るようなことを
平然と口にした。


「橋本さんが夫じゃ、何の自慢にも
なりませんけど」


そう返すことが精一杯だった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ