ながれぼし
第3章 冬以上春未満
あ…
俺…俺…智に…
俺が……
サァ…と血の気が引いていく
「っ手…手、離して…!」
腕を掴む智の手。
ほどこうと手を伸ばすも、智の手に触れられない。
俺がしてきたことって…
「っ早く…!」
と、ぐっ。と強くなった腕を握る力。
大「いぃんだよ。んで話は最後まで聞け。」
そんな…俺…智の嫌なことをずっと…
大「だからさ、地元から遠いこの大学受けて。そしたら、たまたま翔ちゃんもこっちの大学に来たから、恋人のフリしてもらった。」
…俺…翔ちゃんにも…
大「俺って男にもモテんだよね。だから翔ちゃんがうってつけでさ、しかもこれが効果覿面。
女は俺がホモだと思って寄ってこなくなったし、男も恋人が居るって時点で、寄ってこなくなったし。始めっからこうすれば良かったーって。」
アッケラカンと話す智。
大「でもなぁ…お前にはマジで参った。すんげーしつこいんだもん。」
「っ…!本当に…ごめんなさ…」
大「だから話は最後まで聞けって。」
呆れ口調と一緒に振り返った智。
腕を掴む手とは反対の手が…ポン。と俺の頭に乗る。
「なん、」
なんで?と言おうとしてしまった口を、慌てて手で押さえる。
大「しつこかったけどさ、絶対俺に触らなかったろ。だから、そんなお前なら、いいって思ったんだよ。」
だって…
だって智が大切過ぎて近づけなかったんだ。
てかさ…
ねぇ
その言い方ってさ
智も俺のこと…
「智…?」
もう喋っていい?
大「ん?」
「智」
大「なんだよ。」
首を傾げて俺の顔を覗く。
ビリビリ。と電気が体に流れる。
「智。俺と付き合って。」
想いを込めて、伝えた。
大「あ、それは無理。」
ゴォーーーン!!!!
「っな、んで?!!!この流れ、絶対付き合う流れだったじゃん!!!」
目眩が…
まさかの答えに、脳天にドでかいタライが落ちてきたみたいだ。
大「だから、半々。だって言っただろ?」
…半々。
確かに言った。
「だってそれは、恋人がフリだった。ってことと、もう半分は、その理由のこと。でしょ…?」
大「ちげーよ。恋人がいない。ってことと。もう半分は…」
「もう…半分は…?」
なに…?
ごくっ。と思わず唾を飲み込む。
大「俺さ、女好きだから。」
まさかの、チャラ男発言。
作品トップ
目次
作者トップ
レビューを見る
ファンになる
本棚へ入れる
拍手する
友達に教える