『雪に咲く花』第18章「崩れていく幸せ」　237ページ

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雪に咲く花

第18章崩れていく幸せ

雪斗は、登校して教室に入ると、颯人が、まだ来ていないことに気付いた。
あと、数分で始業のチャイムが鳴るというのに……。
「颯人のやつ、また遅刻だな」
施設の年少組の世話をしている颯人は、時々、遅刻してくる時がある。
始業時間を迎え、号令をかけ終わると、担任教師から、思いがけない知らせが入った。
「実は、本郷が、駅の階段で転落して、入院することになった」
「えっ……！」
周りが、ざわつくなか、雪斗は動揺を隠せない。
「足を骨折してるということで３週間は入院が必要だそうだ」

突然の颯人の災難に、雪斗は、１日中、心あらずと言った感じだ。
もちろん、授業など身に入るはずなどない。
「真柴君！きいてるの？」
「あっ……！はい」
声をかけられて振り向くと、英語教師の尾崎梨香の顔が見える。