テキストサイズ

WーWING

第8章 うらはら

「え……」


 その反応に、隼斗も困惑する。


「えっ、どうしたのよ英里奈」


 英里奈と言うらしい。


 英里奈は美晴の腕を引いて、一歩下がり、小声で言った。


「ちょっと、美晴……ぜんぜん違うんだけど」


「え、ぽっちゃりって言ったよ」


「ぽっちゃりって言うよりさぁ……なんか、違わない?」


「写真見せたじゃない」


 英里奈は、拒絶しているようだ。


 隼斗はため息をつくと「用が無かったら、出てってくれないか。俺、受験だし」と机に向かった。


 美晴は空気を察したのか、英里奈を部屋から出して「あ、そうだね。ごめんね邪魔して……」と言って、自分も一緒に部屋を出た。


 隼斗は机に向かったまま、拳を握りしめた。


 沸々と怒りと、不甲斐なさが混じりあって体が震え、悔しさのあまりに、涙がこぼれ落ちる。


 あっという間の玉砕。まだ、一目しか見ていないのに……。


「あんまりな展開だろ……」


 もう、自信がない。


 女の子とは付き合えないんだ。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ