
愛すると言う事…
第5章 episode 5
面会終了まで後5分。
翔「…そろそろ帰るな?また明日来るから」
頭を撫でてそう言うと、智は瞼を開けた。
頬にキスをして。
離れようとした俺に。
智「…………誰?」
はっきりとした声が俺の耳に届いた。
翔「…さと、し?」
智「……オジサン、誰?」
翔「え?」
智「…ってか、ここどこ?ばあちゃんは?」
もう、俺の頭はパニックを通り越して真っ白だった。
"誰?"…?
分かんない…?
まさか…
とりあえず、急いでナースコールを押した。
すぐにパタパタと駆けてくる足音がして、看護師が入って来る。
翔「あの、智が…喋った。"誰?"って…」
『分かりました!すぐに医師を呼びますので!』
それからはもう、病室を出入りする看護師と医者で慌ただしくなり。
診察を終えた医者に病室へ入る様促された。
『大野さん?この方、誰だか分かりますか?』
首を振る智は、俺が誰か分からないと言いながらも自分の名前は理解していた。
『名前は言えますか?』
智「………大野智」
『年齢は?』
智「……15」
『誕生日は?』
智「…何なんだよ。…11月26日。ばあちゃん何処だよ?」
中3…?
やっと目を覚ました智は、15歳の中3に戻っていた。
