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愛すると言う事…

第3章 episode 3


一緒に暮らし始めて半年程経った。

寝る時に、俺が隣に寝る事を拒否しなくなった頃、触れるだけのキスにもだいぶ慣れてきた智。


浮かれてたのかもしれない。


数日前、あんな会話をしたと言うのに。
傍に居る智が、あまりに穏やかで…油断してた。



智「……先、行くから」

やっぱり先に出勤する智を見送って、一時間も経たず俺はマンションを出た。

店までを歩く様になったのは、智の影響かもしれない。
スーパーへの買い物も歩いて行くから、俺も車を殆んど使わなくなった。


斗「おはようございます、翔さん」

翔「おはよう」

斗「……あれ?智くんは?」

シ「今日はいつもより遅いから、珍しく翔さんと一緒に来るのかと思ってましたけど…」

斗真が俺の後ろをしきりに気にして、シゲが不思議そうに首を傾げてた。

智が来てない?

先に出たはずだ。
いつもの様に『先に行くから』って、出て行ったのも俺は確認してる。

翔「……来てない、のか?」

「「…え?」」

翔「………」

シ「いつも俺たちのすぐ後に顔出しますけど、今日はまだ……亮が智より先ってのも珍しいって言ってたんですよ?」

俺はすぐに携帯を取り出した。

画面に智の番号を表示して通話を押す。
無機質なコール音が途切れる事なく鳴り続け、機械的なメッセージが届いた。

翔「…ックソ!」

呼び出し音が鳴るって事は電源は切られてないから、あいつは気付いてるはずだ。

何度も繰り返した俺に、出勤してきた光一がすぐに状況を理解したのか声を掛けてくる。

光「翔さん、まさか…」

翔「あぁ………消えた」

光「…ッ!!…店、閉めましょう?俺たちも手、貸しますから」

翔「……いや…客に迷惑はかけられねぇ。予約も居るだろ?」

光「だけど!」

翔「……大丈夫だ。…シゲ、GPSで探せるか?」

シ「…はい、電源さえ入ってれば」

俺はシゲにパソコンで智の居場所を特定させて、斗真の車を借りる事にした。

連絡を頼むと光一と斗真に店を任せ俺は車で智の行方を探した。


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