
愛すると言う事…
第2章 episode 2
『…父ちゃんのせいだ。父ちゃんがくびにしなきゃこんなことになんなかったんだ!』
全部を父ちゃんの所為にした。
それまで本当に、大好きだったのに。
優しくていつも笑顔で、テストの点数悪くても怒らず笑ってた母ちゃんも。
自転車に乗れない俺に、暗くなるまで一生懸命教えてくれた父ちゃんも。
大好きだったのに、真っ暗な世界に叩き落とされた気がした。
毎日毎日、父ちゃんを責めた。
泣きながら、全部父ちゃんの所為にした。
父ちゃんは、毎日俺に責められ続けて…
死んだ。
母ちゃんが見つかった場所で…
『ごめんな…智…』
そんな手紙が、後に見つかった。
智「……それから、俺は1年間くらい記憶が無い」
静かに、聞いてた翔さんは、何を思う?
こんな"人殺し"の俺を…
抱き締める事なんかもう、出来ないだろ?
久し振りに、泣いた。
もう…
俺には涙なんか残ってないと思ってたけど、まだあったんだな…
思い出すんだ…
タクシーで連れ去られた母ちゃんを。
俺の所為で…
俺を一人置いてタクシーで出て行った、父ちゃんを…
