
愛すると言う事…
第8章 《After that episode》
《side 潤》
智が店を辞めて【Club Night´s】に行ってからもう5年近く経つ。
店を移ってから暫くして、智は入院したらしいって噂はすぐに俺の耳にも入ってきた。
だけど俺にはそっちの店に知り合いが居た訳でもなく、詳しい情報も正確な状況も分からず。
"死にかけてた"と言う話を聞いたのは、本当につい最近だ。
それも、【Club Night´s】のNo.1に『うちに来ないか?』って誘いを受けた時に知る。
しかもNo.1が2号店を出すから来ないかと言われて、本店ならと返事をした時だった。
光「本店かぁ…まぁ…今は智も居ないから人は欲しいけどな?」
潤「……智が居ないって…どう言う事ですか?」
あいつが自分から辞めるなんて思っても無かったし、クビになる様な男じゃないはずだ。
彼……光一さんは、『…入院してる。もうそろそろ退院するけど』と言った。
俺は何があってそうなったのか、詳しく教えてくれと迫ったのに彼は頑なに口を閉ざし『俺も詳しくは知らないんだ』と、最後まで教えてはくれなかった。
だから俺は【Club Night´s】の閉店後にオーナーの翔さんを待ち伏せたのに、翔さんは出て来なかった。
最後に出て来た男に詰め寄ると、彼は『オーナーも今はこっちには居ない』と言う。
潤「……どうなってんだよ」
そう呟いた俺の声は、薄暗い路地裏に虚しく吸い込まれていった。
それからはもう、俺には智の事を知る術なんか無くて。
今現在もまったく分からず終いだ。
ずっと気になってた。
どうする事も出来ないけど、頭の片隅にはずっと智が居る。
店の帰りに、近くのコンビニに寄った俺は偶然にも智に出会した。
潤「お前っ!……大丈夫なのか?入院してたって……何があったんだよ!」
空が白み始めた早朝のコンビニ。
俺は思わず、智に物凄い勢いで詰め寄ってしまった。
