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僕ら× 1st.

第20章 夏祭り --Hzm,Mkt,Ar,Kn

私が何も返せないでいると、先パイは「そろそろ歩こうか」と腰を上げた。

ねぇ、伊織君。
私、もうあなたとは叶わないのは確実だよね?

このタイミングで差し伸べられた手を取ってしまいたい。
そうしたら、楽になれるんじゃない……?

でも、それって先パイに失礼かな?

私は気持ちをすり替えられて、先パイは喜んでくれて一石二鳥なんじゃないかって考えは、浅ましいのかな。

ねぇ、伊織君、帰って来て!
私の背中を押して…!
別の道を歩こうと、もう一度突き落としてっ。
僕はもう、花野とは手を繋がないと。。

先パイの手のひらを見つめながらそんなことを考えた。

「まぁたイオのこと、考えてる?……妬いちゃうな、俺」

「……すみません、私。ごめんなさい」

こんな私、先パイの彼女になる資格もないね。

「却下。もう、予約入れたからな。花野ちゃんの彼氏席、空いてるの知ってるんだからな?」

偉そうに言い放った後、暗がりでニシッと笑った先パイが伊織君に見えてしまって。
重ねてごめんなさいと心の中で2人に謝った。

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