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「むやみに千夏さんに手を出しちゃ
いけないかな……と」


これは陵介くんの作戦なんだ。


同情を目一杯引いて
その気にさせて……という作戦。


危うく鵜呑みにしてしまうところだった。


「陵介くん。この際だから言っておくけど」


陵介くんに惹かれ始めている私は
傷が浅いうちに予防線を張ることを試みた。


今ならまだ間に合う。


20年前、心と身体に負った傷を
知ってしまったら
自ずと私から離れてくれるはず。