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三角関係ときどき四角

第1章 合コンの行方

唇が離されると……


「あ……」


陵介くんは動揺を声にした。


私は泣いていた。


消したくても消えない過去。


慰めたくても慰められない過去。


舞彩を出産することによって
その辛い過去と向き合えると思っていた。


「……ごめんなさい」


陵介くんの謝罪が
あの忌まわしい残像を
余計に思い出させた。


『……ごめんなさい』


タイガーマスクの覆面を被った男も
私にそう謝っていた。

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