オキナグサ
第9章 狂嫉
ただ疲れただけだった
腕を動かすのを諦めて脱力する
そうやってゆっくり寝転がってるうちに、少しずつ頭が覚醒してきて
両手足の寝ぼけて遠かった感覚も戻ってきた
よし、もう一回
今度は脚動かして何かに触るか試してみよう
それってイコール蹴るってことなんだけど、体力が回復した時に場所がわかってるのとわかってないのとじゃ大違いだから
まぁその前に朝陽さんが戻ってきてあっさり取ってくれる可能性もなくもないけど
よし
脚を持ち上げる程の力は入れられないから、辛うじてズルズル引き摺るように動かす
「?」
あ、れ
チェーンみたいなチャラチャラって音が聞こえた
俺が足動かすのに、ついてくるみたいに
あと、足首に
なんか
巻かれてる
今動かしたのと逆側の足で動かした足を探ってみる
すると足先に触ったのは
革製の、何か……
心臓が一際大きく脈を打ったのが、すぐ耳元で聞こえたような気がする
違う
本当はわかってる
否定したかったわけじゃないけど
一瞬受け入れられなかっただけ
俺の足首に巻きついてるこれは
足枷だ
どこに繋がってるのかはわからないけど
俺は今、この部屋に繋がれてるんだ
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