オキナグサ
第8章 嫉妬
大学の教室
ガヤガヤと賑わう中で俺はイヤフォンをしながら横画面表示にしたスマホを眺めていた
普通ならただ動画見てるだけだって思われると思う
いや、動画は動画なんだけど
所謂動画サイトのような、商品紹介やゲームの実況プレイとか、俺が見てるのはそんなんじゃないってこと
つまりは
『ふぁ……』
昨日1日朝陽さんが何してたかチェックしてる
欠伸してる
可愛い
仕事忙しいみたいだな
最近帰り遅いし
『!』
家に1人だから当然なんだけど、音声自体はそんなに録れてない
独り言激しかったらそれはそれで可愛いんだけどな
何かにピクッと反応した朝陽さんが机の上に置いてあったスマホに飛びつく
俺は画面の下に表示されてる録音日時を確認してにやけそうになるのを必死で抑えた
この時間
俺がそろそろ寝るからおやすみってメール送った時間だな
メールの内容を確認しているであろう朝陽さんがなんとなく残念そうな息を吐く
疲れてるんだから、朝陽さんも早く寝ないとダメだよって今日のメールに書こう
そんなことを考えてたら、俺の横の席に乱暴に人が座った
ガタン、と大きな音がする
作品トップ
目次
作者トップ
レビューを見る
ファンになる
本棚へ入れる
拍手する
友達に教える