
ALL MY LOVE IS FOR YOU
第4章 Back To December【銀白】
-あれは寒い寒い12月の出来事。
何度月日が巡っただろう。師走になるといつも彼女を思い出す。
風の流れに身を任せ旅を続けていた俺は久しぶりに仲間達と戦ってきた場所へ戻ってきた。
特に他意はなかった。戻ってきた。ただそれだけだ。
だから見覚えのある少女の影を見つけたときは驚愕した。
大人の女性へと成長したがあの姿は間違いなく…冴だ。
彼女も俺の存在に気付いたらしくこちらを見ると零れてしまうんではないかと言うほど目を剥いた。
「…月麿さん?」
俺の名を呼ぶと冴は走り出しこちらまで来た。
「久しぶり!また会えるなんて!」
「風が俺を呼んだだけだ…。だが、本当に久々だ」
「私、会いたかったの!」
話してみるとあのあどけない喋り方や笑顔はまったく変わっていなくて安心した。
自分の気持ちを全身で素直に表す冴が羨ましかった。
だが、少し引っかかる言葉がある。
「俺に…会いたかった?」
「そうなの!…まぁここで立ち話もなんだし…近くのお店やさんでも入ろうよ!」
言われるがまま、冴に付いていくと小さな喫茶店に入った。
