Hello
第57章 そばにいる * にのあい
Nino
生配信ライブを終えて、家に帰る。
マンションのエレベーターのなかで、俺は自分の姿を見下ろして、おかしくないかチェックした。
あいつらにもらった洋服は、一着目はともかくとして、二着目は、とても気に入った。
ファッションに特別興味がないせいで、こういう類のものは俺のクローゼットにはない。
たまに、先輩のお下がりをいただくが、俺の好みとは少し違うんだよな。
こういった白いシャツは、相葉さんやJみたいなお洒落上級者がよく着てるイメージだ。
……だから、好きなのかもしれない。
扉をあけると、食欲をそそるいい匂いが鼻腔をくすぐる。
少し酒は飲んだものの、何か食べたわけではないから、お腹はすいていた。
「おかえりーにの」
黒いエプロンをした相葉さんが、キッチンから顔をだした。
明るい笑顔に迎えられて、俺は小さくただいま、という。
今日は夕方まで仕事だといってたのに。
帰ってから、そのままキッチンに立ってくれてるのだろうか。
「ちょっとまってねー!なんか一緒になって配信みてたら、準備が間に合わなくなっちゃった」
「……え、みてたんすか」
思わず、笑ってしまう。
あんな後輩とのゆるーい会話、あんたが見てもしょうがないだろうに。
「当然でしょ……あ、その服すげー似合ってるじゃん。やっぱあいつらセンスいいよね」
「お洒落番長揃いだからね」
俺は、リビングの明るい照明の下で、改めて自分の格好を確認した。
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