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僕らの歪な経験値

第3章 中る

翔 side







そのキスに体中が痺れた。



もう何度も体を重ねてきたのに。



こんなに気持ちが入るキスは初めてだった。












智「ん……あ、、寝てた」







情事が終わると大野は眠ってしまった。



激しくしてしまったから。



寝てしまったのは初めてだった。



初めての寝顔。



智「今、キスした?」



俺は大野の寝顔にキスをした。



寝ていた大野はキスで目覚めた。



智「恋人みたいじゃん」



眠り姫は静かに笑った。




翔「もっかいしていい?」



大野の返事をしないまま、キスをした。



首の後ろに腕を回した大野に応えるように、強いキスをした。






心はまだ見えない。








智「こんなにキスだけしたの初めてだね」



翔「俺も思ってた」



大野の腕が絡まったまま、見つめあっていた。



こんな甘ったるい状況は今まで無くて。



くすぐったくて。



嬉しくて。



切なかった。









智「ねぇ櫻井くん」



翔「うん?」



そういえば、名前呼びをそのままにしていた。



名字じゃなくて名前で呼んで欲しいな。








智「今度、どっか行かない?」



翔「……へ?」







頭を鈍器のようなもので殴られたようだった。



殺人事件だ。



俺は殴られた頭をそのままに、大野の腕を解き、ベッドから抜け出した。






智「櫻井くん?」



翔「うるさいっ!」



智「どうしたの?急に…」



大野は上半身を起こして、態度が変わった俺をただ見つめていた。



かけていた布団がはだけて、躯幹が現れた。






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