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碧い空に出逢えて ~ 羽ばたく鳥 ~

第2章 薄紅色の奇跡・・・

周りの建物や風景は

どことなく変わっていました



コンビニやお店

近くに結婚式場が出来たとかで

穏やかな鐘の音まで響いてくる

なんとも優雅な並木道





いよいよ

そのアパートを前に私は・・・




さぞドキドキと・・・





なんて思いきや





ぼんやりとしたような私がいました







『・・・』


〃確かに・・・ここだ〃





建物をボーっと見つめ


手すりに手をかけて


ゆっくり階段を登る







ガチャガチャ・・・




営業マンが手にする鍵で

そのドアを解錠する







201号室・・・。







『・・・』



〃そのドアを…その鍵を

かつて回していたのは・・・ゆうちゃん〃






なんて


当たり前でとりとめのないことを思う








驚いた


確かに・・・本当に驚いた






だけど案内される、その物件を
私は黙ってみていた





不動産屋さんの説明が

ある種のそっちのけで

右から左へとすり抜けていく






〃あぁ、たしか…この辺に
彼のベットがあったかな〃



〃テレビと…小さなソファがあって〃



〃小さいガラステーブルの上に

いつも少年ジャ○プが置いてあって

時々…男の子らしく豪快に

ぺしゃんこに潰したビールの缶があって〃




〃冷蔵庫は…黒いのが確かここに

たまに半開きで…ピーピーって

うるさくて〃





なんて・・・無意識に


そんな事ばかり描いて



勝手に懐かしんでいた






もちろん…この部屋に住もう

なんて思っていないのに

ゆっくり…じっくり

一番時間をかけて内覧していた






そんな

私の反応を

恐らく勘違いしてか

営業マンはほくそ笑んで見えました






〃少し家賃あげてでも結局は

キレイな家のが良いでしょうが?〃





と・・・少し笑われた気がしました

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