
Everyday Love
第2章 やさしさに包まれたなら【白黄】
その瞬間、足音が遠のいた。逃げたか。と思ったがしばらくするとこちらに寄ってきた。
隣で椅子を引く音がしドスッという音がした。
「ちょっと失礼します」
テツはおもむろにジャスミンを起こすとどこかから持ってきたのであろう毛布を膝にかけた。
「冷やすとまずいですよね?暖かいお茶もついできます!」
「え?あ、うん」
ジャスミンは驚いた。あんなに青臭い反応を示してたわりには有能振りを発揮してるではないか。
お盆に2つの湯呑み(自分も飲むらしい)を乗せ、テツは戻ってきた。
「はい、どうぞ」
「ありがとう」
再度、テツは隣に座ると「失礼します…」と呟きジャスミンのお腹…下腹辺りに触れた。
「テツ?」
「ここら辺が痛いんですよね?」
「え?まぁそうだけど?」
そしてテツは優しくジャスミンのお腹を撫でた。ゆっくりかき混ぜるような手つきに痛みが引いていく気がする。
「腰も言ってましたよね?なんなら押しますよ!」
「え?そこまではしなくていいわよ」
「ナンセンス!遠慮は入りません!」
「いやいやいや…」
そんなやり取りをしてるうちに痛みも忘れてしまっていた。
テツの撫でるペースが心地よくて眠くなってきた。
「眠いですか?寝てていいですよ」
そんな言葉を聴きながらジャスミンは夢の中へ落ちていった。
「おやすみなさい、ジャスミンさん」
「たっだいまー☆パトロール終了!特に問題はなぁし!!…あれ?」
ウメコは何も返答のないデカルームに違和感を持った。
「スワンさんは朝から鉄工所に居るからなぁ…ボスはまだ忙しいのかな?バンたちもまだっぽいしぃ…あ、じゃすみ…!!」
大きい独り言を言いながら中に入るとウメコは言葉を止めた。
気持ちよさそうに眠っているジャスミン。肩にジャスミンの頭を乗せながらジャスミンのお腹に手をあて同じように眠っているテツ。そして毛布がずり落ちていた。
「2人ってそんな関係だったのぉ?」
どう見てもただの同僚同士とは思えない距離感を不思議に思ったがこれ以上の詮索はよそうとずり落ちている毛布を拾った。
「まっ、昼寝の言い訳、手伝ってあげる!」
そう言うとウメコは静かに2人に毛布を掛け直した。
