
Everyday Love
第8章 少しだけ片想い【白黄】
「あ。」
ジャスミンが急に立ち上がった。
「どうしたんですか!?」
「私、もう上がります。」
ドギーがふと時計を見るとジャスミンの定時の時間に針は指していた。
「そうだな。今日も特に目立った動きはなかったからな。お疲れ。」
「ありがとうございました、ではボスまた明日。」
「あぁ、また明日な。」
ドギーに挨拶を終えるとジャスミン
コンピューターに向かっているホージーとセンのに向かって、「お先にドロンさせていただきます。」とドロンのポーズをした。
「お疲れジャスミン」
「また明日ね」
2人はジャスミンに微笑み手を振った。
「あれ?俺は?」
まだ挨拶をされていないテツが寂しそうに自分を指さす。
「ん?テツ…」
ジャスミンはテツの方に向き直した。
「わんわん。」
「は?」
ジャスミンは「テツ、ハウス。」と待てのポーズをすると颯爽とデカルームを出ていった。
「ナンセンス!!俺は犬じゃないですよぉ~!!」
悲痛な叫びを上げるテツにその場にいた者は「いや、犬だろ」と一斉に突っ込んだ。
「はぁ…」
椅子に座り、机に突っ伏し落ち込むテツにホージーとセンはコンピューターへの手を止め、椅子に座った。
「ジャスミンなかなかのドSだね~」
「ジャスミンはミステリアスだからな」
どうフォローしていいか分からず2人の励ましもキレがない。
「いっつもなんか、片思いしてるんですよねぇ…」
誰にいうでもなく、独り言のように呟いたテツにセンが口を開く。
「いや、それはないんじゃない?」
「え?どういう…」
テツが言いかけた瞬間、SPライセンスではなくテツの私物の携帯が鳴った。
「え、嘘、こっちに掛けてくるなんて…」
どうやらメールが来たみたいでさっきまでの落ち込みはどこえやら、見る見るうちに元気を取り戻すテツ。
「お前もそろそろ退勤時間じゃないか?」
「あ、そうでした!」
ホージーのナイスな振りにテツは頷き、おもむろに立ち上がった。
「で、では俺も帰りますね!ではようなら!」
足早にデカルームを出たテツをホージー・セン・ドギーは何とも言えない顔-しかし顔は笑っている-で見送った。
