幸せの欠片 *超* 番外編
第5章 そしていなくなった
誰もいないリビングは、かずが力を使ったのか
朝、散らかしっ放しにしていた物が全て片付けられていた
「…かず、いるんだろ?」
呟きながら部屋を見回す
「隠れてないで、出て来なよ」
かくれんぼなんか、今はしたくないよ
「…早く、脅かせよ」
“びっくりした?“ って笑ってよ
“驚きすぎ“ って俺を揶揄ってよ
だけど静まり返った部屋からは物音ひとつ聞こえなくて
「……また、何も言わないでいなくなるのかよ」
一気に力が抜けて、床に座り込んだ
悲しいのに
胸が痛くて仕方ないのに、何故か涙は出てこない
ぽっかりと穴が開いたようだ
……悲しい?
そもそもかずは、既にこの世にはいない人で
会える筈がないのが当たり前で
そうか
これ、夢なんだよ
1年経っても少しも忘れる事が出来ない俺に
神様が見せてくれた夢
集められなかった欠片を、幻でも集められた
幸せな、…夢
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