幸せの欠片 *超* 番外編
第4章 奇妙な同居生活
何度生気を分けても、この吸いとられる感触には慣れない
だけどその後に訪れる、この上ない幸せにそんなものはすぐに忘れてしまうものだ
「相葉さん」
かずの指が触れる
すかさず逃がさないように身体ごと自分の胸に引き寄せた
ああ、これだ
この感触だ
……最期は、雨の中抱き締めた嫌な冷たさだったけれど
同じ冷たさでも今はやけに暖かく感じるのは
…やっぱりかずが笑っているからなんだと思う
「ふふ、痛いって」
ギュッと抱き締められたかずがクスクスと笑う
「ダメ。離さない」
髪に顔を埋めて呟いた俺の背中に、かずの腕が回された
そういえば、毎晩キスはしていても抱き締める事はなかったのは何故だろう
お墓の前での、あの短時間だけだ
手を繋いでいても、それ以上の密着はしなかった
「それはね、我慢出来なくなるからだよ」
かずが胸に頬をつけたまま囁いた
「やっぱり読めるんだ。考えてる事」
「ふふ」
そうだろうなとは何度も思ったけど
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