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1985年空は蒼かった~イノセントスカイ

第96章 彼氏紹介してくれって言われて

動物園の帰り、波多野は少し歩きたいと言って不忍池の周辺をブラブラと歩いた

11月に入ると夕陽が沈む頃には日中との気温差が激しく、寒さが身に染みる

「昼間ボートに乗ったら良かったねぇ」

不忍池を眺め波多野が残念そうに言った

「ボートってあのスワンのボートか?」

「うん、何か一度乗ってみたかったんだ」

「そういや、オレもボートなんて漕いだ事無いかも」

「ウッソ、マジで?」

「うん、乗る機会無いからさ」

「そっかぁ、でも寒くなってきたよね?そろそろ戻ろうか?」

「早いとこ電車に乗ろう」

日が暮れて暗くなった不忍池周辺に街灯の灯りがともる

僕らは駅に向かい、帰りの電車に乗った

「小野っち夜はどうする?」

(夜はどうする?夜?どうする?まさか波多野……いや違うな、夕飯の事だろ)

アホな事を考えてながら

「帰りに飯食ってくか?」

「うん、そうしよう」

で、僕らは以前二人で行ったことのある中華料理屋に足を運んだ


「あらいらっしゃぁい、ゴメンねここは混んでるから二階に行ってくれる?」

店を切り盛りするオバサンが二階に行くよう促した
店内は人が多く一階は満席の状態だった

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