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1985年空は蒼かった~イノセントスカイ

第55章 何ぃ~、痴漢だと?

「小野っち…助けてょ…誰か触ってるょ…」

波多野が泣きそうな声で僕に助けを求めた

誰だ、波多野のケツ触ってんのは?
オレにも触らせろ!いや、けしからん!
下に目線を落として見たが、波多野に触ってる手が誰の手なんだか解りゃしねぇ!
何せこんだけギューギュー詰めだと見分けがつかない

「おい、一旦次の駅で降りるぞ…」

波多野の肩越しにボソッと耳打ちし、
そして次の駅に着いた
「あ、すいません降ります!ほら降りるぞ!」

僕らは途中の駅でやっとこさ降りる事が出来た

「あぁ~苦しかったぁっ!酸欠になるかと思った!」

波多野も疲労困憊の表情を浮かべ、顔は俯いたままだった

「あぁ、何なんだ、このアホみたいな電車の混み様は…」

いつもならここまで混んでないのに、ダイヤの乱れか何かなのか?
今から次の電車を待っても間に合うのだが、波多野の疲労した顔を見て
(こりゃ学校の駅まで送るしかないかな)
そう思った

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