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第28章 あけおめ
「かず、準備できた?」
N「いつのまにこんな服用意してたんだよ…」
母さんに夕食に行くから着替えろと言われ、
渡されたのは、
深緑と紺のタータンチェックのスーツ。
N「ね、子供じゃないんだからさ…」
こんな良さげなスーツなら
せめて単色とかにしてくれよ。
「やだー♡似合う似合う!かず可愛い!」
N「可愛くねー!!」
「まぁまぁ、ほら、遅れるからいくぞ。」
ビシッと決めた父さんの後ろに続き、
連れてこられたのはブロードウェイ。
南北に伸びるメインストリートには
日本でも有名なミュージカルの看板や、
光り輝くネオンが広がっている。
N「なに?ミュージカルでもみんの? 」
「その通り。」
さ、行こう、とチケットを
取り出した父さんが向かったのは、
2番街にある小さな劇場。入場すると
ステージのほぼ正面にある丸テーブルへと
通された。
どうやらディナー付きのショーらしい。
前菜らしきものが運ばれてきて、
グラスにミネラルウォーターが注がれる。
N「英語聞き取れっかな・・・」
「ふふ、言葉なんかわからなくても大丈夫だよ。
このショーはね、父さんがずっと
観に来たかったショーなんだ。」
N「ふーーーん・・・?」
全然イメージないけど、
そもそもミュージカルとか、
興味のある人だったんだな。
普段の父さんはといえば仕事ばかりで、
そんな趣味があるなんてちっとも知らなかった。
・・・それにしても3人で
こんなゆっくり外食するなんて久しぶりだ。
なんか家族旅行してる、って感じ。
前菜、メインを食べ終わったあたりで
英語のアナウンスが流れ
デザートとコーヒーが運ばれてくると
ブザーが鳴り、ショーの開演を知らせる。
しばらくすると、ステージ上が
しっとりと暗くなり、ひとりの青年が現れた。
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