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第26章 ちくたく
#A
チョコケーキを冷蔵庫にしまってから
二階の自分の部屋に戻り、窓を開けた。
すっかり暗くなった窓の外を眺めながら
ハァッと白い溜め息が夜空にきえた。
かずくん、寒かったよね。
ちゃんと家まで帰れたかな。
もう一度、ハァッと溜め息をつくと、
携帯を手に取りLINEを開いた。
相変わらず既読にならないメッセージたちの後に
ケーキのお礼を打ち込んでいく。
・・・2人で食べたかったな。
感謝とか謝罪とか、伝えたいことが
まとまらなくて一向に送信できず、
一旦携帯から顔を上げると
トボトボと窓の外を歩いている人影。
あれは・・・!
携帯をベットに放り投げ、
転がるように階段を下りる。
間違うはずない・・・!
あれは絶対・・・!!
一目散に玄関を飛び出し、その細い腕を掴んで
逃げられないように抱きしめた。
A「かずくんっ・・・!」
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