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無表情の宇野くん

第52章 宇野くんに五味さんを。

宇野くんと五味さんをどうにかしてどうにかできないかと、私は多彩な策を巡らせるわけなのですが、どうしてもお節介は上手くいかないもので。


五味さんは漫画やアニメの知識が多大にある。オタクというほどではないのだろうが、それはかなり重度といっていい。


五味さんと話すきっかけを作るのであれば、そこからだと私は思うのだけれど、どうにもこうにも、宇野くんは喋らない。話すきっかけもなにも話せないのだからどうしようもない。


宇野くんは五味さんのことが好きなのでしょうが、五味さんからは認識が薄いというのが、可哀想な話である。


この前、五味さんと宇野くんが一緒に帰る時があったのだが、その時に五味さんは、ゲームセンター前にあったユーフォーキャッチャーの商品に、目を光らせた。


宇野くんは取ってやろうと、腕捲りまでして挑んだのだが、五千円貢いでも取れず、五味さんが五味だけにということではないが、五回やっただけで取れてしまった。


なにかの誤解だという顔で、宇野くんは五味さんを見ていた。無表情だったが。


宇野くんがどうこうより、五味さんが凄い。

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