幸せの欠片
第6章 戸惑いと優しさ
相葉さんは、何を言おうとしてるんだろう
横顔だけでは、表情が見えなくて見当も付かない
「すぐに捕まえようと思ったんだけど、何て言って良いか分からなくて
…だけど、あのままかずを帰すのは出来なかった」
ふ、と相葉さんが小さく息を吐いた
「長く、歩かせてごめんね」
「違う。相葉さんが謝らないで」
帰る、と車を飛び出したのも
勝手に山道を走ったりしたのも、俺の勝手なんだから
「ただね、今もまだ分からないんだ」
「え?」
「かずをどう思ってるのか。好きなのは変わらないんだけど、それがどう言う意味か」
「あの、相葉さん…」
それを言うなら俺も同じだ
「キス、したけど、…俺もはっきり分からない」
相葉さんに対して
恋愛感情を持ってしまったのか
それとも
今まで出会った事のない、警戒心を抱かせなかった人だから好きなのか
「うん、…俺もそんな感じ。
でも、かずにキスされたのは何故か嫌じゃなかった」
“俺、女の子にしか興味はなかった筈なんだけど“
信号で止まったのをきっかけに、相葉さんが俺の方に視線を向けた
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