幸せの欠片
第6章 戸惑いと優しさ
幸い山道だから一本道だ
振り返る事なく、下に向かって走り出した
山さえ降りれば、何とかなる
タクシーでもバスでも、帰る手段はどうにでもなる
歩道なんてある訳のない道を下る俺を、通り過ぎる車の中から好奇の視線が注がれるのが感じられて
余計にいたたまれない気持ちになった
幾つかのカーブを過ぎて、完全に相葉さんの姿も車も見えなくなって漸く走るのを止める
息切れするのを抑えながら、今度はゆっくりと歩き始めた
初めて出来た友達を、自ら切ってしまった
大切にしたいと思った関係を、自分から壊してしまった
「…っ」
ここに来て、急に虚しくなるなんて
ホント自分勝手過ぎる
だけど溢れてくる涙が止められない
手で拭っても、すぐに視界を滲ませてしまう
彼女を失って
友達も失って
また俺はひとりぼっちだ
でもそれが、俺には合ってるのかも知れない
だって全て自分が原因を作ってるんだ
だけど
相葉さんだけは、失いたくなかったな
自分で壊しておいて、バカみたいだけど
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