幸せの欠片
第5章 衝動
「そう?…朝はいつもこんなんだよ。
俺、朝はダメなんだよね」
自分でも自覚してる
顔色まではいちいち見ないから知らなかったけど
「ご飯、買うんでしょう?行こうよ」
あまり心配そうに見られるのは嫌だ
だから相葉さんに早く車を動かすよう、腕を叩いて急かした
「あ、うん…」
どうも納得はしていないみたいだけど
相葉さんが渋々とブレーキを解除してアクセルを踏むのを見て
漸くホッと息をついた
こないだの、初めて見た夜景と同じ場所にまず向かうと言っていた
「夜とは全く違うけど、景色が綺麗なのは一緒だよ」
言葉通り、コンビニで買ったおにぎりをパクつきながら
相葉さんがにっこりと笑った
俺はと言えば、朝はあまり得意じゃないからと
セルフで入れるドリップコーヒーだけ
ここでも
「朝は食べなきゃ」なんて言われてしまったけど
こうして相葉さんが気に掛けてくれるだけで嬉しいと感じてしまった俺は
やっぱり何処か今までと違う気持ちを少し、持て余していた
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