幸せの欠片
第16章 誓い
「俺…生きていいのかな」
父親も確かにそう言ってたけど
「…幸せを求めて、いいの?」
長い間諦めてたそれを今さら望むのも、やたら恐くて
「当たり前だろ」
頬に触れる手に、力が込もる
「…俺と、バラバラになってた幸せの欠片を集めようよ」
“ちょっとクサかった?“
相葉さんが照れたように笑った
“幸せの欠片“ なんて言葉、良く思い付いたなと思う反面
頬に触れる手のぬくもりがあまりに優しくて、笑いたくても笑えない
ただ
ふざけて言った訳じゃないのも伝わるから
“バカみたい“
そう返したくてもそれの代わりに視界が滲み出す
「かず?」
「…一緒に、集めてくれる?」
クサい台詞にはクサい台詞で
なのに全然おかしくないと思うのは、相葉さんのその真剣な瞳があるからかも知れない
ガタ、と相葉さんが椅子から立ち上がった
間を挟んでいたテーブルを回り、俺の隣にしゃがみこむと
「集めよう、二人で」
ふわりと微笑んだ相葉さんが、触れるだけのキスを俺に送ってくれた
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