幸せの欠片
第14章 幸せの時間
初めて見る相葉さんのその様子に、思わず目を見開いた
とっくに一線を越えて、“恋人“ になっている今
この言葉が何故「殺し文句」になるのか理解出来なかった
「かずってさ、あんまり…って言うか殆ど自分から口に出さないから
…そういう事をいきなり言われると凄く響くんだって」
なんて照れたように言われたけれど
やっぱり自分には良く分からなくて、 “そうなんだ…“ としか返す事しか出来なかった
自分なりに、相葉さんへの想いは隠してないつもりなんだけど
…だって昨日の言葉もそうだし
「…言葉にしないと、やっぱりダメ、かな」
少なくとも、今は相葉さんを失いたくない
彼が望む事は、出来るか分からなくても聞いておきたい
だけど
「まあ、それはそうなんだけど」
“あんまり積極的なのも心臓に悪い“
なんてはぐらかした相葉さんは、運ばれた食事を食べ始めてそれ以上の会話を半ば無理矢理終わらせた
ー…ま、いっか
こんな幸せは、長くは続かないのは分かっているから
余計な事を考えるのは勿体ない
そう思った俺も、相葉さんに続いて目の前の料理に箸を付ける事にした
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