オオカミは淫らな仔羊に欲情す
第13章 溢れる想い
『けど、そろそろ閉店時間でしょ?
コレ、どうするの?』
コレ、とは……私の事?
『いっそ、竜二くんにお連れ頂けると助かるん
ですが』
頭の一部は覚醒しているのに、
体は指1本動かせない。
でも、早く起きなきゃご迷惑をかけてしまう。
『う~ん……ほな、そうしよか』
へ? ―― 今、何って言った?
『はぁ? 本気ですか? 竜二くん』
結城さんも竜二くんって男の人の
意外な発言に面食らっている様子。
『ダメ、かな?』
『いえ、ダメだとは言いませんが……どうゆう
おつもりで?』
『つもりも何も ―― 別に他意はないよ』
『ホントに下心なし?』
『あんたじゃああるまいし……』
しつこく勘繰る結城さんを男は鼻で笑った。
『そりゃあ、ま、滅多にいない美人だけどさ、
オレ彼女にはマジで惚れてるから。
無理矢理はヤラない』
半覚醒状態のふわふわした意識の中、
聞こえてきたそんな言葉で
”とりあえず、貞操の危機だけはなさそうだな”
と、妙な安心感を覚え。
”よっこらしょ”と、掛け声が聞こえ
私の体は大っきな背中へ担ぎ上げられた。
『―― ん? 何だこいつ、やけに軽いな、
ちゃんと食ってんのかぁ?』
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