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笑い、滴り、装い、眠る。

第7章 雨の日は家にいて



翔「あっ…いや…でも…」


「確かに僕から付き合おう、って言ったけど…でも…無理に付き合わせてるみたいだし…」


翔「そっ…そんなこと…」


「…送ってくれてありがとう。」



翔くんに背を向けドアに手をかける。



突然僕に素っ気なくされ、呆気にとられている翔くんの顔が窓ガラスに映る。



身勝手な言い分だ、って、



十二分に承知している。



でも、それに輪をかけて無神経な翔くんに苛立っていた。



プレゼントを突き返されたから、って、



後生大事に持ってないで、さっさと捨ててくれればいいのに、と。



しかも、同じイニシャルが入ってるから、ってそんなものプレゼントするの?



「もう…ワケわかんない…。」



小一時間、新幹線に乗っていただけなのに、鉛のように重くなった体をホテルのベッドに沈めた。



「はあ…」



一つため息をつき、天井を見上げたとき、ふと、あの顔が脳裏を過る。



潤…。



こんな時、潤だったらどうするのかな?



潤『…もしもし?』



電話の向こうから聞こえてくる不機嫌そうな声に、潤に電話してしまったことを後悔した。



「こんな時間にごめん。」


潤『智?……智か?』



僕だ、と知った途端、明るくなった声音にホッとする。



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