卑怯なボクは深海魚
第17章 【最終章】卑怯なボクは深海魚
まだ、寒さが残る3月――――…
先輩は卒業する
来月から
大学に進み――――…好きな勉強をするのだろう
ストイックな先輩だから…あまり頑張り過ぎないで欲しい
「――――長谷川 春太」
「はい」
卒業生の名前を呼ばれ――――…返事をする先輩の声をボクは目を閉じて聞いていた
やっぱり――――…かっこいい声だった
ボクは…今でも先輩が好きです…
でも――――…それは、ボクだけの秘密
誰にも知られず…深海に沈める――――…
次の恋がボクをここから引き上げるまで――――…
ボクは深海魚でいよう
卒業生が体育館を後にし…
先輩の背中が別れを惜しむ者たちに囲まれた
ボクたち在校生は教室に戻る――――…
去るもの、残るもの
道は別れた
――――さよなら…先輩
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