卑怯なボクは深海魚
第1章 見なかった事には出来ない
「――――…え…ぇ…?」
先輩が、後退りするのが解る…
自分の口から発せられた言葉は…
二人の間の緊迫した状況を更に…悪い方へと向かわせる
なんて…最悪なひと言…
先輩だって――――…ボクの事を頭のおかしなヤツだと…思っているに違いない
「――――…な、何で…キス――――…俺と…お前が?」
ボクの先輩への憧れて――――…恋心…
全てが…
崩れて――――…汚く積み上がる
「――――…えぇ…していいですか?
黙ってますから――――…」
先輩の見開く目が…ボクの唇と瞳の間を何度と行ったり来たりする…
これは――――…
脅迫だ――――…
――――黙っているから…
汚いボクの…汚い【欲】が…ボクを支配する
先輩を――――…本当に…汚す
「――――…キス…したら…
動画……消すのか――――…?誰にも言わないのか!」
「――――…はい…」
ボクは振り払われた先輩の手を――――…再び掴んだ…
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