ねぇもう嫌・・・
第6章 多目的室
なんとか管が入った。
その間も先生はもちろん、看護師も見ていた。
先生はゆっくりと管を引き抜いた。
最後に付着した水滴を看護師が拭く。
2人の手が離れた瞬間、私はその場にしゃがみ込んだ。
脱力した、と言った方が近いのかもしれない。
涙がぽたぽたと溢れた。
「大丈夫?痛かった?」
「…」
何も言いたくない、言えない。
こんな形で見られるとは思わなかった。
そうして1本目の導尿が終わった。
「次は、陽菜ちゃんがやってみよっか。座った状態の方がやりやすいかな。」
先生が言った。
「えっ…」
途端に自分の手足が弱々しく感じられた。
上手く力が入らない。
今走ってトイレの扉を開ければ簡単に逃げられる。
でもそれが出来ないのは、この部屋に異様な緊張感が漂っているからだった。
先生が"座ろう"って言った後、看護師がヨガマットのようなものを持ってきて、床に敷いた。
そのそばにウェットティッシュが置かれた。
私は言われるがままにそこに座った。
作品トップ
目次
作者トップ
レビューを見る
ファンになる
本棚へ入れる
拍手する
友達に教える