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ねぇもう嫌・・・

第13章 治療



『もう一回訊くけど、何で病院に来なかったの?』


柊先生は体を浮かして座り直すと、そう私に尋ねた。


「…いつか、治ると思ってた……」


か細い声で答えると、柊先生は短く溜息を付いた。


『はぁ。…いつか治るって思ってたから来なかったの?』


「コクッ」


『…そっか。』


柊先生が肯定してくれたように見えた。


でも、そうじゃなかった。


『君の病気は、時間が解決するものじゃないんだよ。寧ろ我慢すればする程大変なことになるんだ。』


そんな…分かってたら、私だって…


でもなんで?


なんで柊先生は病気の全容を教えてくれないの?


「…」


『俺のこと、嫌い?』


「っ」


咄嗟に首を横に振った。


子どもすぎる私の気持ちを、ベルトで締めつけた。


それ程までに、私の気持ちは厄介で、邪魔で。


ここで柊先生に嫌われてしまったら、私はきっと誰にも言えず、独り病死するんだろう。


嫌われないための最適解。


ほんとうのことは、いつも言えない。

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