
理科準備室と先生と
第1章 日常
授業中も
考えるのは先生の事ばかり。
優しい指先。
爽やかな笑顔。
揺れる前髪。
黒板の前の背格好。
愛しい。
声が聞きたい。
「…妃乃さん!」
!?
「ちゃんと聞いていますか?ノートちゃんと移して下さいね?」
『は、はい…』
いけない集中しないと。
ブンブンと頭の中の先生を
無理やり消して授業に挑んだ。
あれから40分たった頃だろうか…
チャイムが鳴り授業が終わった。
この後はHRがあるので教室へ戻った。
「舞華なに怒られちゃってっ笑。大丈夫だった?ノート移す?笑」
朱里奈はすぐからかいに来るんだから。
まったく。
『大丈夫だよ。移せたから。ありがとうね』
HRは簡単な連絡事項だけなのですぐに終わる。
その後は帰宅するだけ。
いつもと同じ。
日常。
「ぁ、妃乃さん。沙原先生が放課後、理科準備室にいらっしゃいと仰ってましたよ。渡し忘れた物があるそうです。行ってくださいね」
『ぇ、はい。』
沙原先生から呼ばれた。
理由は些細でも喜んでしまう。
授業以外で会えるなんて
今日は付いてるのかも…。
「それではHR終わります。気をつけて帰宅してくださいね。」
HRが終わり先生が教室を出ていった。
「舞華!良かったね!チャンスだよ!頑張れ」
『いや!呼ばれただけだし。用事だけよっ』
「素直じゃないなぁ。舞華は。んもぅ行ってらっしゃい!」
『緊張するっー!』
「頑張ってね!今日用事あるから先に帰るね♡明日の話楽しみにしてる♡」
ニヤニヤと手を振って教室を出ていった。
はっ!
先生を待たせたら行けない。
私は急いで準備室に向かうのであった。
