
今日も明日も 2nd season
第9章 見えない鎖 part ⅩⅠ
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俺達が連れて来られたのは、先輩の友達 “大野さん“ の仕事場だった
「寝泊まり出来るように一通りは揃ってるから、生活に支障はないと思うよ」
「…散らかってるけどな」
先輩が溜め息を吐いた
「うん。だから住む代わりに片付けよろしく」
「え?」
「適当に纏めていいからさ」
大野さんがふにゃりと笑う
“ま、家賃だと思ってよ“ なんて言う彼に、先輩も笑い出した
「お前、相変わらずだな」
「だって隠れる場所、探してたんだろ?」
「そうだけど…」
先輩たちの会話にぽかんとする俺と
俺にしがみつきながらも、キョロキョロしだしたかずくんが会話から取り残されている
確かに綺麗とは言い難い
だけどゴミだらけ、とは違って、恐らく仕事関係のものをあちこちに積んでる感じだった
「ま、暫くここにいなよ」
「あ…、ありがとう、ございます…」
俺には何か言う権利なんかない
関係ないのに
かずくんを匿うために
何も聞かずにここを提供してくれた事に感謝するしかない
「まーくん……」
アパートを出てから、一言も言葉を発しなかったかずくんが
おずおずと俺を見上げた
