
今日も明日も 2nd season
第9章 見えない鎖 part ⅩⅠ
「かずなり、いるよね?」
それは質問なんかじゃなかった
“分かっているんだ“ と言う明らかな確信を孕んでいるもので
“Yes“ 以外の返事はありえない、そう目が訴えている
その恐ろしく、逆らう事を許さない視線に俺は何も言葉が出てこなくて
だけど視線を逸らす事も出来なくて
…蛇に睨まれたカエルってこんな気持ちなんだろうかとか
メデューサに石にされる直前の心境なんだろうかとか
頭は今の状況を認めたくないのかくだらない事ばかりが駆け巡っていた
「まーくん?」
そのおかしな思考を破ったのは
まさに今、一番ここで危険に晒されているかずくんの声で
“来るな!!“ そう叫ぼうとするより先に
「かずなり」
…お兄さんの声が、かずくんの耳に届いてしまった
「あ……っ」
顔を見た瞬間、ガタガタと身体が震えて両手で口を抑えるかずくんが、みるみるうちに真っ青な顔に変わっていく
「かずなり、来なさい」
俺を無視してかずくんに手を伸ばすお兄さんに、何故かかずくんが引き寄せられるかのように1歩踏み出した
「ほら」
「かずくん!!」
冗談じゃない
我に返った俺は、力任せにお兄さんを突き飛ばしていた
