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今日も明日も 2nd season

第46章 見えない鎖 part ⅩⅤ


不穏な空気を察したのか、にゃん太が不思議そうに足元から俺を見上げていた

「にゃん太…」

再び抱き上げて、今日は行かないと決めた筈の寝室に足を向ける

さっきの恐怖で、かずくんへの欲は成りを潜めている

それよりも、とにかく傍にいたくなった



小さく、丸くなって眠るかずくんと向かい合うようにそっと身体を滑り込ませる

にゃん太はベッドに降ろした途端、かずくんの胸元に飛び込んでいった

抱き締めたくてもにゃん太がそこにいたらこれ以上は近付けない

ちょっとだけにゃん太を恨めしく思うけど、仕方ない


そこは諦めて、かずくんの柔らかい髪を撫でてから、赤ちゃんみたいに軽く握られた手を自分のそれで包み込んだ

「ん……」

ぼんやりとかずくんの瞳が開く

「大丈夫、眠ってて」

せっかくの眠りを邪魔したくない

眠れる時は、深く眠った方がいい


「…まーくんも、…いっしょ…」

「うん。一緒に寝るよ」


そう囁いたら

少しだけ安心したような顔をして、かずくんはそのまま眠りの世界に戻っていった



続く




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