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今日も明日も 2nd season

第46章 見えない鎖 part ⅩⅤ



カタン、と玄関の外から音が聞こえた

深夜の静かな時間だからかそれはやけに耳にはっきりと届いた

風で何かが玄関にぶつかったような、普段ならまるで気にしないような小さな音

なのに、何故か今日はやけにそれが気になる



たった1回の物音

近付くな、と頭の何処かが警鐘を鳴らす


何だろう、この変な胸騒ぎは

確かめたい、だけど怖い


変な汗が額に浮かぶのをそのままに、じっと玄関に視線を向けるけどそれだけだ

何故か息まで詰めている自分がいる

身体は、硬直したように動かなかった





20分近くは固まってたかも知れない

その「音」はたった1回だけど、動く事が出来なかった

すっかり痺れてしまった足を庇うように、這いずりながら…だけど音を立てないようにゆっくりと玄関に近付いていく


だけどまだ、玄関を開ける勇気はない

かろうじてスコープを見るけど、何も映ってはいない

歪んだ玄関外の風景が見えるだけだ



「……っ」

何気なく新聞受けに目を向けて、思わず息を飲んだ

……何かが、入っている



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