
今日も明日も 2nd season
第33章 ほのかに甘くholiday From A
おんぶを提案したのは俺の方だった
だっていつまでも迷子になってられないし
とにかく進まなきゃ仕方ないし
でもにのは見えなくなった足元の、いるであろう蛙の声に動けないんだから
「はい」ってしゃがんだら、素直に背中に乗っかったにのは
…思った以上に軽くて、華奢だった
女の子みたいな柔らかさはないけど
何だろ、…中性的って奴?
全然嫌な感じじゃなかったんだよね
ぴったりくっついたにのの体が暖かくて
なんだか心地好くて
やけに心臓の鼓動が早い気がするけど、多分蛙に脅えてるからだろう
にのをおんぶするなんて、もうないと思ってた
番組の企画とかならともかく
そうじゃない場面では普通に起こり得ないし
そもそももう、二人ともいい「大人」だしね
だからなのか分からないけど
少しだけ昔に戻ったような気がして
どこか嬉しく思ってる俺が、ここにいる
「…重いでしょ?」
暫く無言で歩いてた時、にのにいきなり耳許で囁くように言われて
思わずビクッと体が大きく揺れてしまった
そう言えば俺、耳ダメなんだった…
