
今日も明日も 2nd season
第29章 高校教師 *紫×青*
半分脅しのつもりだった
大人を舐めたらどうなるかを教えてやる程度に
軽く啄むだけのキスで唇を解放してやった
「大人をからかうと「…先生、こんなキスしかしないんだ」」
挑発的に俺の言葉を遮る大野
「お前、何言って…」
まさかの反撃にそれ以上の言葉が見つからなくなってしまう
「美術室の鍵、貸して」
なのに
そんな俺を意に介さず、大野は何事もなかったかのように右手を差し出した
その顔は、普通の高校生の顔に戻っていて
さっきの妖艶さは完全に姿を消していた
それこそ、キスした事さえ幻想だったのかと思わせる今の空気感
「あ…ああ、鍵な」
俺は軽く頭を振って、気を取り直した
壁にまとめて掛けてある鍵の束を取り、美術室の鍵を抜いて
「ほら、鍵」
差し出された手に乗せてやった
「ねぇ先生、一緒に行かない?」
「え?」
「俺の描いた絵、見てよ」
大野が俺の手を取る
行くとも行かないとも答える前に
俺は大野に手を引っ張られて職員室を出る羽目になっていた
