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今日も明日も 2nd season

第17章 君が笑うなら



期末時期はどうしたって忙しくなる

会社全体も、今期の売上額にピリピリしていて、契約に結び付きそうな匂いに恐ろしく敏感

ちょっとでも見込みがありそうな雰囲気を見せてしまえば “アポ取れ!“ “セッティングして!“ と煩い事この上ない

1つでも契約に繋がれば、と書類だけは次々に作成され

片付けても片付けても、コーヒーを飲みに行くってたかだか15分程の休憩から帰ってくれば
減った筈の書類はまた嵩を増していた


「マジで勘弁してくれ……」

思わず口に出るのは仕方ないと思う

忙しいのは確かに皆一緒だけど、それぞれの仕事と
そのそれぞれが持ってきた案件をチェックして、確認、訂正、捺印しなければ次に進めない重要なポジションにいる自分とは、中身が違う



今月は殆どが終電、またはそれも逃してタクシーでの帰宅ばかり

そして今日も、終電逃してタクシーで漸く家に着いたのは1時を回った後だった


当たり前だけど
家に帰っても、灯りは既に消えていて
声を聞きたいその人はとっくに夢の中の住人で

ありがたいのはキッチンに必ず置いてある
ラップに包まれた軽食


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